スーパーセールにおける利益回収モデルとSS後2ヶ月間の投資設計
楽天市場の運営において、スーパーセール(SS)は年4回の最大イベントであり、ここをどう戦うかで年間利益構造が決定する。特に、SSのみで利益を回収するタイプの商品については、通常月での売上・利益の安定性が低いケースが多く、SS本番での利益確保と、SS後の育成期間における投資戦略の切り替えが極めて重要となる。そこで、本レポートでは「SS回収型商品」の考え方と、SS後1~2ヶ月の投資・回収フェーズの運用基準について整理する。
まず、SSのみで利益を回収する商品に関しては、全店舗で割引を行わず、純粋な利益回収に徹することが基本方針となる。これは、SS回収型の商品は通常時に利益が出にくく、販売ボリュームを確保しづらいため、SSという最も買われる場で強制的に利益を獲得する必要があるためだ。多店舗展開していても、このタイプの商品は“全店舗で利益確保”を優先し、無理な値引きは行わない。SS本番ではクーポン乱戦になりやすいが、回収型商品に関しては価格訴求の土俵に乗らず、利益を最大限確保するのが正しい戦略である。
次に、SS後の1ヶ月目の運用方針である。
SS明け直後は、需要が急激に落ち込むため、全体的に成約率が下がり、売れにくい時期に入る。ここで無理に利益を取りに行くと、広告費やポイント施策に対して利益が足りず、結果として赤字化しやすい。そこで、SS後1ヶ月目は「イベント外はすべて投資」「イベント中のみ利益回収」という運用が最適となる。普段は投資フェーズとして、販売実績を伸ばすためのクーポン・ポイント・広告を積極的に使い、イベント(買い回り、カードの日、0のつく日など)だけは利益回収日に設定する。この運用で大きなメリハリをつけることで、無駄なコストを減らしつつ実績だけを積み上げることができる。
SS後1ヶ月目は特に売れ行きが落ちるため、売上が下がっても問題ない。むしろ、売れなくなることを前提にしながら、将来の検索順位上昇のために必要な最低限の投資を継続することが重要である。この姿勢を崩さず耐えることで、SS後2ヶ月目の成長の土台が整う。
続いて、SS後2ヶ月目についてである。
この月は、全店舗で投資フェーズに完全移行し、販売実績を積むための期間に設定する。理由は、次回SSの準備期間として最も重要な1ヶ月であり、この時期の販売実績が次のSSでの露出量・検索順位・レビュー獲得数を大きく左右するためである。2ヶ月目は、投資⇒実績蓄積⇒順位上昇という流れを意識し、利益ではなく“蓄積”を目的に運用する。全店舗で一斉に投資に切り替えることで、扱うSKUの全体順位が底上げされるため、次回SSでの戦闘力が飛躍的に向上する。
そして、このSS前後の利益モデルの特徴として、限界利益率が下がる傾向があるという点が挙げられる。なぜなら、この運用は短期的な利益率ではなく、“限界利益高(利益額)”と“市場獲得”を優先しているためである。B店舗・C店舗といった育成店舗は、利益率が低い状態で販売実績を積む必要があるため、当然全体の限界利益率は下がる。しかしこの落ち込みはコストではなく、“成長のための必要経費”であり、既存商品を使ってマネタイズしながら市場を広げるための戦略的投資と言える。
この利益モデルは、短期利益を追う“率の管理”ではなく、長期的な収益最大化を目的とした“額の管理”で成立している。利益率は一時的に低下するが、次回SSで大きく売上・利益を取り戻せる構造ができあがるため、結果として年間利益は最大化される。
SS前後は「投資フェーズ(実績蓄積)」と「回収フェーズ(利益確保)」を明確に分けることで、効率的に販売実績を積みつつ、SS本番で確実に利益を回収できるスパイラルを作ることができる。


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