楽天市場スーパーSALEにおける多店舗展開型クーポン戦略

楽天市場のスーパーSALE(SS)は、短期間で大きな流入と購買が期待できる一方、クーポン施策を誤ると利益が簡単に削られてしまうイベントである。特に多店舗展開を行う企業では、1番手店舗で利益を確保しつつ、2番手・3番手の成長を図るという二軸を同時に成立させる必要があり、クーポン戦略が経営に与える影響は非常に大きい。

現在は、利益回収フェーズに入ったことで売上は一時的に大きく落ちたが、その結果限界利益率は25%程度まで上昇し、経営としては健全な状態に戻りつつある。一方で、固定費を賄うには月間1500万円以上の限界利益が必要であるため、利益を維持しながら売上規模を再び引き上げることが必須である。特に2番手・3番手の店舗はまだ伸ばせる余地が大きく、SSをきっかけに売れる状態へ引き上げ、1月以降の損益分岐点突破につなげたい。

今回のSSで目指す数値目標は、売上1億円、限界利益1500万円の達成である。
この1500万円という数字は、現状の赤字体質を脱却し、今後の成長投資を行うための最低ラインである。SSで利益を確保し、かつ2番手以降の検索順位を押し上げることが今回のテーマとなる。

1番手店舗のクーポン方針は「100%回収」か「90%回収」で運用する。
1番手店舗は企業全体の利益源であり、ここを守りながら売上を取ることが最優先となる。100%回収は利益を堅実に積み上げる理想形であり、90%回収は市場のクーポン競争に合わせることで取りこぼしを防ぐ運用だが、いずれにせよ利益率が大きく落ちる施策は避けるべきである。検索順位も確立されているため、無理に攻める必要はない。

2番手・3番手の店舗は、SSで成長させるべき主戦力である。
ただし、攻めればよいというわけではなく、以下3つの発行条件をクリアした上でクーポンを設定する。

① 会社全体の限界利益1500万円に届かない場合は型を下げる。
全体利益を優先し、必要に応じて80%回収や70%回収へ調整する。赤字覚悟の無理な攻めは厳禁。

② 広告併用をしても必ず黒字になる型であること。
SS広告、楽天タグ広告、クーポン、ポイント倍率などを全て加味した「総合限界利益」で黒字である必要がある。

③ 在庫は1番手店の利益回収を優先し、余剰在庫で運用する。
利益源となる1番手店を軸に在庫配分を行い、2番手以降は残った余力の中で効率的に攻める。

また、例外として不動在庫がある場合は、1番手店であっても黒字が確保できる型であれば処理を許容する。長期滞留在庫の価値は下がるため、黒字回転できるなら優先度を上げても問題ない。

今回のクーポン戦略の本質は「利益確保」と「検索順位上昇」の同時達成である。
SS期間中に2番手・3番手の検索順位が上がれば、通常月でも自然検索流入が増加し、広告依存度を下げることができる。結果として中長期で利益構造が改善し、売上規模も安定して伸びる。

スーパーSALEは赤字脱却から成長フェーズへ移行するための重要なタイミングである。今回設定した売上1億円・限界利益1500万円は、単なる数字ではなく、来月以降の事業成長に直結する基盤づくりである。1番手店舗で確実に利益を確保しつつ、2番手・3番手をSSで育てることで、1月以降の損益分岐点突破と増収増益を実現できる。